昨日は帰るのが待ち遠しかった。何度も立ち読みしたことはあるが高くて買っていなかった「1920年代日本展」の図録を安く手に入れた。工業化、都市化、国際化が急激に進行した大正後半から昭和はじめの絵画、彫刻、写真、建築、都市計画、舞台、映像、工業デザイン、グラフィックデザインなどを「1920年代への序奏」「機械・ダイナミズム・構成」「都市・モダニズム・大衆」のテーマで展示した展覧会の図録だ。見たこともないような形の建築模型や色々なポスターが面白い。
芸術新潮の特集「世界が恋する1920年代」は展覧会と同じ88年の4月号だ。こちらはニューヨーク、モスクワ、パリ、ベルリン、東京の各都市の20年代について多くの写真で解説している。こうして並べてみると日本のデザインは劣っていない。画像は芸術新潮より「東西“脚線美”共艶」。
1920年代についてはトーキングヘッズ叢書No.26「アヴァンギャルド1920」もある。1905年から1934年までの年代記や、映画や本や絵について書いてある。溝口健二が『カリガリ博士』の影響を受けて1923年に作った『血と霊』はフィルムは失われていてスチール三枚だけが残っている。このゆがんだセットがとてもいい。
現代思想「臨時増刊 特集・1920年代の光と影」も幅広い話題を扱い、人物写真と当時の広告が多い。20年代を代表するゲームはクロス・ワード・パズルだそうだ。
『光芒の1920年代』(朝日新聞社)は買おうかどうしようか迷っていたら売れてしまった。
《追記》
『光芒の1920年代』も、その後、買った。八年前の記事で、フィッツジェラルドや昭和初期の浅草、オールド上海に凝り始める前だが、嗜好は今と変わっていない。(2016年2月25日)