『死霊のしたたり』 目がイッちゃってる屍体蘇生者

死霊のしたたり reanimator

http://www.frankensteinfilms.com/ のヘッダー画像に人物が九人並んでいて、誰が誰だかほぼ分かるのに真中のメガネ一人だけ知らなかった。調べてスチュアート・ゴードン監督『死霊のしたたり』(1985)の人物だと分かった。ホラーファンの間では有名らしいが、私はグロテスクな映画は普段見ない。だが、興味を惹かれて見てみた。結果、このフランケンシュタインや怪物たちの錚々たるメンバーに入るのも納得の狂いっぷりだった。

やはりマッド・サイエンティストは目がイッちゃってないと満足できないが、その点、『死霊のしたたり』の医学生にして屍体蘇生者ハーバート・ウェストは文句なし。屍体に注射すると生き返る、緑色に光る血清を発明し、その実験に情熱を燃やしている。髪型も服装も地味で普通なのに、ただならぬ雰囲気が漂っている。それだけではなく、窮地に陥ると口から出まかせを云う嘘吐きでもある。胡散臭くて笑える。ルームメイトであるケインの恋人メグは、女の直感か、最初からウェストの怪しさを感じていた。

彼一人でも強烈なのに、もう一人の変態ヒル教授との対決が素晴らしい。マッド・サイエンティストと云えば「狙われる美女」のテーマがあるが、それを担当するのがメグを狙う偏執狂ヒル教授だ。ウェストの研究を盗もうとして返り討ちに遭いスコップで首を斬られ、蘇生される。かなりバカバカしいが、紳士的で抑えた演技がよかった。

危機に颯爽と現れるハーバート・ウェスト。ヒル教授が下衆野郎なので、狂っているはずのウェストがかっこよく見える。

ちょっとしたきっかけがなければ見ることはなかっただろう。かなり笑えたし、見てよかった。

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