『幻影師アイゼンハイム』 19世紀末ウィーン 奇術師と令嬢の恋

幻影師アイゼンハイム

かなり昔、スティーヴン・ミルハウザー「アウグスト・エッシェンブルク」が映画化されるらしいと、雑誌の小さな記事で読んだ記憶がある。好きな小説なので、見間違いではないはずだ。結局、何かの間違いか変更があって『幻影師アイゼンハイム』(2006)になったのだろう。

『幻影師アイゼンハイム』の19世紀末ウィーンの映像は、セットもロケ場所も完璧だ。観客を騙すなら、ここまで徹底していなくては。奇術師と令嬢の身分違いの恋があり、その令嬢を皇太子が狙っている。令嬢役のジェシカ・ビールは『ブレイド3』でヴァンパイアハンターをやっていたくらいなので、ウィーンの令嬢というよりはアメリカ娘にしか見えなかったが、まあ許容範囲で、キャストも衣裳もかなりいい。

皇太子の性格も行動も全然違うが、令嬢を●●て●●するところは実在の皇太子ルドルフの事件(伝説?)と同じで、それをそのまま再現するのではなく、別の方向にふくらましているところが見事だ。令嬢が●●●いないのは予想できたが、ではあの映像は何だったのか。事件を捜査している警部の推理か。警部は皇太子への忠義があり、皇太子に対して反抗的な奇術師を捜査するのだが、奇術師のことを嫌っていないところがよい。

一度見ただけでは見落としている部分もあるかもしれない。トリックを確かめるためだけではなく、映像が素晴らしいので、また見たい。

監督のニール・バーガー『フランケンシュタインの花嫁』をリメイクするという噂がある。それが2009年頃で、その後の情報はない。映画化権を買ったというだけで「映画化決定」などと云われたりするので、どうなるか分からないが、『幻影師アイゼンハイム』並みの映像なら見てみたい。

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