『フランケンシュタイン』はホフマンの「砂男」の影響を受けているのか?

メアリ・シェリー フランケンシュタイン MaryShelley

『フランケンシュタインのライヴァルたち』マイケル・パリー編 ハヤカワ文庫)の編者あとがきに、次のようにある。

自動人形についてはこれまで多くの優れた物語が書かれてきた。その一つであるドイツ人作家E・T・A・ホフマンの「砂男」は、一八一六年に英訳されて出版されたが、そのときメアリー・シェリーは『フランケンシュタイン』を書いていた。彼女はおそらくその影響を受けたものと思われる。

「思われる」なので、推測でしかない。だが、『フランケンシュタイン』を再読していると、「もしかしてこれは」と思える部分があった。第18章、フランケンシュタインが怪物から女を作ってくれと頼まれ、そのことについてあれこれ考える部分だ。

約束を果たせば、怪物は永久に姿を消してしまう。あるいは(ついこう思ってしまうのですが)、その過程で何か事故が起きて怪物が破滅し、この隷属状態から永遠に解放されるかもしれない。(光文社古典新訳文庫 小林章夫訳)

それほど目立つわけでも重要なわけでもない部分だ。だが、「砂男」の主人公ナタナエルの父が実験中の爆発事故で死ぬことを思わせる。真相は不明だとしても、『フランケンシュタイン』「砂男」の影響を受けているかもしれないとは興味深い。

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