『サイレンサー 沈黙部隊』 歌って踊る60年代お色気スパイアクション

サイレンサー 沈黙部隊 the-silencers-1966

60年代アメリカ製の007の亜流スパイ映画にサイレンサーシリーズがある。私は007やその他60年代コメディに凝っていた頃に全部見たが、最近はミュージカルに凝っていて『ミュージカル洋画ぼくの500本』(双葉十三郎 文春新書)を眺めていたら『サイレンサー 殺人部隊』ヘンリー・レヴィン監督 1967)が載っていた。この本はいわゆるミュージカル以外にも音楽にまつわる映画も載っている。

サイレンサーについて双葉十三郎ディーン・マーティンが得意の鼻唄まじりにお色気合戦、スパイ冒険をくりひろげるお遊び映画と書いているが、まさにその通り、悪の秘密結社あり、秘密基地あり、秘密兵器あり、昔の007をさらにお気楽にしたような感じだ。ミュージカルではないが、心情を表す歌がちょくちょく流れるのが可笑しい。大抵は女についてだ。

双葉十三郎はシリーズ第二弾『サイレンサー 殺人部隊』を推している。アン=マーグレットがはつらつと踊りまくるからだそうだ。だが、私にとっては一本目に見た『サイレンサー 沈黙部隊』フィル・カールソン監督 1966)の方が音楽の印象が強かった。オープニングは007のように女のボディラインを見せる映像だが、より脱いでる感があってインパクトが強く、さらにその後、シド・チャリシーが突然歌い踊り出すからだ。出番は多くないが、重要な役でショーのシーンがある。

核ミサイルの軌道を変えてアメリカを死の灰まみれにしようとする秘密結社の陰謀を諜報員が阻止する話だ。主人公マット・ヘルムは仕事よりも女が大好きで、休職してカメラマンをやっているところを諜報部から呼び出される。カメラマン設定は『オースティン・パワーズ』の元ネタらしい。サイレンサーシリーズは馬鹿馬鹿しくてふざけたギャグや粋な台詞もあり、私は好きだ。

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