“LE FANTôME DE L’OPÉRA “には想像力が必要

オペラ座の怪人

劇団四季の『オペラ座の怪人』には物凄く豪華絢爛なものを期待しすぎた。私より先に観た友人が、「クリスティーヌがおばさんだった」と云っていて、「こいつ贅沢云いやがって、三十代くらいでおばさんとか云ってるんだろう」と思って観に行ったら本当におばさんだった(念のために書いておくが、最近ではない)。

自分で自分のことを「凄いらしい」などと云ってるもんだから私の期待が大きすぎ、シャンデリアも仮面舞踏会もちゃちに見え、え? この程度なの? と思った。だが、音楽は素晴らしく、序曲ですでに完全に心を掴まれた。いや、この程度のはずがないと思い、英語版のCDを買った。

映画も好きだが、ファントムが帽子をかぶらないとかオルガンを弾かないとか、細かい不満はある。クリスティーヌはかなり美人だが、北欧系ではないし、寒いところで胸元が開いた服を着ている。DVDで気軽に音楽を聴けるのは素晴らしい。 ミュージカルや映画の二次創作はどれも完璧ではない。だが、誰かに強く惹かれる、何かしらコンプレックスがあるという、共感しやすい単純な感情が描かれていて、好きな世界だ。アーサー・コピット脚本のドラマは かなりいい。

素晴らしい音楽(これは実現している)、出演者は超美形、超歌ウマ、天才的演技、衣裳もセットも超豪華、ハラハラドキドキして超感動的なス トーリーと、全てが揃っていたらここまで惹きつけられなかったかもしれない。自分の頭の中に自分だけの“LE FANTôME DE L’OPÉRA”を創らなくてはならない。

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