『グレート・ギャツビー』を読んだのは、現実がクソッタレなのでやる気を出すためだったのだが、『『グレート・ギャツビー』の読み方』(野間正二 創元社)を読むと、まさにそういう本であることが分かる。 読み方なんて人それぞれと思う人もいるかもしれないが、一度読んだだけではなかなか気付けないことが説得力のある文章で書いてある。
細かい点は色々あるのだが、大雑把に云うと、戦争で心が傷つき孤独で不安定な語り手ニックが、ニューヨークでたまたま出会ったギャツビーの「希望を見いだす非凡な才能」の影響を受けて、その状態からある程度脱出する話、ということだ。
現代の日本にも希望は全くない。希望を見いだすためには非凡な才能が必要だろう。私は取り戻したいほどの過去があるわけではないが、とにかく現状から抜け出したい、そしてハンディがあったとしても表面はピシッとしていたい、武士は喰わねど高楊枝的な、そのために出来る限りのことはやっている、たとえ手が届かなくとも、という意味で『グレート・ギャツビー』にはとても感銘を受けた。