『美女と野獣』の「ひそかな夢」の日本語版を聴いて、うーんと思ったが

美女と野獣 2017

私が観た『美女と野獣』はIMAX3Dの字幕版で、日本語吹替版はまだ観ていない。野獣のソロ「ひそかな夢」が気に入ったので日本語版をダウンロードしてみた。

英語版の字幕をきちんと覚えているわけではないが、歌詞を見ると下記の部分、「彼女が去ってもまだ私を~したまま」という部分に「鎮める、落ち着かせる」、「感動させる」といったポジティヴな言葉だけではなく、「ひどく苦しめる、悩ませる」とか「傷つける」という言葉が交互にはさまっていて、そうそうそうだよなー、そういうものなんだよなー、リアルだなーととても共感した。

She will still torment me
Calm me, hurt me
Move me, come what may

日本語の歌詞は「私をまだ 揺らし 燃やし 癒してくれる」となっていて、うーん、頑張って韻を踏んだんだろうけどちょっと違うなー、ちょっと全体的に甘めだな、英語版は彼女のおかげで自分が変われたことが伝わってくるが、日本語版はただ自分が嘆いているだけじゃない? と思った。でもまあ、1音に適当な日本語を詰め込むのはかなり難しいだろうから、仕方ないかなとも思う。

削除されてしまったが、山崎育三郎がテレビ番組で「ひそかな夢を」を歌っている動画があった。ダウンロードした音楽では「愚か」という部分が詰まっていて語呂が悪いと感じたが、こちらは不自然さがなくなっている。やはり生演奏で歌うのと映像に合わせて歌うのは違うのだろうか。

記事「実写版『美女と野獣』せっかくいいところもあるのにいじり過ぎて微妙に」に、野獣のソロはミュージカル版の「愛せぬならば」より実写版の「ひそかな夢」の方がラヴソング度が上がっていると書いたが、その分、「愛せぬならば」の運命に立ち向かう力強さは弱まっている。この歌い手、泣いちゃってるしね。

等などと思っていたら、Amazonのレビューに「全曲を通して1音に言葉を詰め込み過ぎて字余りとなっている箇所がいくつもあり、メロディーを破壊しています。」という一言が。私は全曲通しては聴いていないが、1曲聴いただけで感じたことは、その通りだったのか。日本語吹替版も興味あるが、すごく観たいというほどでもない。DVDが出るまで待つか。

《追記》
「ひそかな夢」は映画館で字幕版を観たときは結構感動したのだが、日本語版をダウンロードして聴けば聴くほど非道い歌詞だなと感じるようになってきた。

全体的には大体英語のニュアンス通りなのだが、最後のフレーズが特に非道い。「愚かと知りながら ひそかに夢見る 戻ってきてくれると 愛してくれると」なんて女々しすぎる。待つだけなんて受け身で全然男らしくない。囚われのお姫様が歌うならいいよ。でっかい図体して夢見る少女じゃないんだから。

2コーラス目「愚かと知りながら ひそかに夢見る 彼女と迎える 愛の夜明けを」の「愛の夜明け」って何だよ。性的ニュアンスが漂っていていやらしい。

翻訳家にケチをつけたいわけではない。原文でも彼女が忘れられない、待ってるという感じなので、一番悪いのはビル・コンドン監督だろう。
(2017年5月16日)

日本語版の山崎育三郎の歌声を聞いたとき、へー、こういう声も出せるんだ、さすがミュージカル俳優だねと思ったものだが、加工してるのだと後から知った。そんなことやるくらいなら野獣にふさわしい声の人をキャスティングすべきだし、山崎育三郎に対しても失礼ではないか。若くてかっこよい人の方が女性客を見込めるからやったとしか思えない。豪華キャストを揃えるより、日本語版の演出家、音楽監督の方に力を入れるべきだった。
(2018年1月29日)

《関連記事》
実写版『美女と野獣』が楽しみすぎる
実写版『美女と野獣』せっかくいいところもあるのにいじり過ぎて微妙に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。