『エクス・マキナ』 囚われの機械美女の知能が人間に近づいたら、どんな欲望を持つのか

エクス・マキナ

ロボットとかアンドロイドとか人工知能とか私の大好きなジャンルの『エクス・マキナ』アレックス・ガーランド監督 2015)はジャケ買いだった。イギリス映画で、イギリスといえば『フランケンシュタイン』『ロッキー・ホラー・ショー』の国だ。グロテスクと気品と奇妙が同居していて、このロボットSFにもひとひねりある。

過去の記事「「愛しのヘレン」 お手伝いロボットがご主人様に恋する1930年代SF」に「ロボットに感情や思考を与える方法は、もっと古い作品ではオカルト的に、現代であればコンピューターが使われるだろう。この作品では人工内分秘腺が使われる。」と書いたが、『エクス・マキナ』はまさに今現在ならではの機械仕掛けになっている。

後味はよくない。途中、美女を救い出して脱出というのはやっぱり男のロマンだよなあと思いながら見ていたが計画が間抜けすぎたり、計画についてしゃべりすぎという気になる点はある。だが、ロボットの知能が人間に近づいたらああなるだろうなと、結末には納得できた。

女性型ロボットのエイヴァの有機的でメタリックなヴィジュアルが素晴らしくて、21世紀のマリア(『メトロポリス』)と云ってよい。日本人のメイド、寿司、箸と日本的なものが出てくるが、もうひとつ日本的なものは正座だ。エイヴァは正座する。海外の映画で正座するロボットはなかなか珍しい。実際はどうか分からないが、エイヴァの体の一部が透けているデザインはゲームN.U.D.E.@のP.A.S.S.の影響を受けているのではないだろうか。

N.U.D.E.@ 美少女型ロボットと音声でコミュニケーションできるゲーム

N.U.D.E.@(引用元:Xbox「N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment」P.A.S.S.育てる楽しみからコミュニケーションへ CGデザイン/種田和宏)

こちらの外部ブログ記事に荒木元太郎制作の実物大P.A.S.S.の画像が載っている。
太っ腹!コアマガジン刊・荒木元太郎作品集 「モンパルナス」はドエロどす

荒木元太郎といえば、『オルガスマシン』イアン・ワトスン コアマガジン)の表紙やグラビアページの人形も制作している。イアン・ワトスンは日本と縁があるイギリス人だ。『オルガスマシン』は以前、一回読んだがあまり覚えておらず、通販サイトの解説を読むと「虐げられつづけてきたカスタムメイド・ガールたちがついに団結し、男社会に叛旗を翻す」とあり、『エクス・マキナ』と近いものがある。映像ではなく台詞で説明されるだけだが『エクス・マキナ』のエイヴァも性交可能である。話は前後するが『メトロポリス』にはヨシワラが出てくるな。昔からロボット、ニッポン、エロティシズムは三点セットなのかな。

その他、美しくも実は恐ろしい機械美女たち

未来のイヴ

《過去の記事》”L’ÈVE FUTURE”(『未来のイヴ』)限定版に付いている絵

面白いと思ったのは、彼女が武器を持っていること。高圧電流のナイフを持ってて、ご主人様以外の誰かが彼女によからぬことをしようとすると、自動的に防衛機能が働いてそいつを黒焦げにする。(中略)この時代にも現代の漫画に通じるような「戦う女のアンドロイド」という発想がすでにあったということですね。
SFマガジン 2007年2月号 SFにおける人間とロボットの愛の歴史(山本弘)より引用

《過去の記事》毒の娘 死の接吻
”The World is not Enough”のPVに出てくるおっかない女性型アンドロイド

Garbage – The World is not Enough from Cherryl on Vimeo.

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