『もう森へなんか行かない』 エドゥアール・デュジャルダン フランス好きの私の好きな小説

もう森へなんか行かない エドゥアール・デュジャルダン

私はフランス好きです。はじめから意識的だったわけではなく、おしゃれなイメージを気取っているわけでもなく、たまたま気に入った本や映画や絵画にフランスのものが多かった。何となく孤独感、哀愁とちょっと不思議、奇妙なところがあり、ロマンティクだ。

『もう森へなんか行かない』(エドゥアール・デュジャルダン 都市出版社)に興味を持ったのが四年も前のことで、古本屋で見つけて買ったのは二年前になる。『ストロベリー・ディクショナリー』渚十吾 リブロポート)に「あなたが、夕暮れどき、暮れなずむ瞬間に魅せられる人なら、このエドゥアール・デュジャルダンの内的独白は宝物だ」とあり、読んでみたいと思った。

「きみ、何を考えているの?」という言葉が繰り返し出てくるところがあるのだが、原文では「à quoi rêvez-vous?」で、辞書にもこの例文が載っている。rêverには「夢を見る」の他に「ぼんやり考える、夢想する」という意味があり、辞書の訳は「何をぼんやり考えているの?」になっている。そして、「Mon amie」(ただの友達ではなく恋人のニュアンス)と呼びかけている割にはtu(きみ)ではなくvous(あなた)なところに距離を感じる。

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