『がんばれ、リアム』(スティーヴン・フリアーズ監督 2000)というタイトルとポスターを見て、かわいい子供のほのぼのした映画だと思っていたら痛い目に遭うと、公開されたときに雑誌に書いてあったのを私は読んだ。観てみたら実際にその通りで、衝撃的な結末だった。
1930年代、リバプール、父の失業で家族のトラブルが色々あり、その末っ子、7歳の少年リアムを中心に描いたドラマだ。
リアム役の少年は本当にいい顔している。ぱっちりした美少年ではなく、味のあるおじさんになりそうな顔だ。子供はかわいい、子供は純粋とわざとらしく描いていないところがよい。だからこそ、とてもかわいいと思える。
リアムの父が失業し、ファシストになり、ユダヤへの憎しみが増大していく。リアムの姉は収入を得るためにユダヤの家で働く。この映画ではユダヤはケチだったり不倫したりするが、すごく悪どくは描かれていない。それぞれの人がそれぞれに生きて、運悪く悲劇が起こる。小さなリアムはそれを防ぐことができない。それでも生活は続いていく。
宗教や資本家の欺瞞、人間の愚かさがはっきり描かれていて、それでいて可笑しさもある。大好きな映画だ。