『邪淫の館 獣人』 ヴァレリアン・ボロヴツィク監督の獣姦映画 

邪淫の館 獣人 ヴァレリアン・ボロヴツィク la-bete

ヴァレリアン・ボロヴツィク監督の『愛の島ゴトー』(1968)は人物の情念が強烈に描かれた傑作だと思う。一度見ただけで気に入った。

同監督の『邪淫の館 獣人』(1975)を見た。ボロヴツィクはポーランド出身だが、映画はフランスで撮った。フランスと云えば「美女と野獣」、「赤頭巾」、ジェヴォーダンのベートの国だ。そういう下地があって、この獣姦映画が出てきたのだろう。『ジェヴォーダンの獣』(2001)という映画があるが、これは1764年から67年にかけて101人が殺された、実際の事件を元にしている。謎の事件で、その辺のことは『狼と西洋文明』 (C.-C.&G.ラガッシュ 八坂書房)等に載っている。

全体的に淡々とした映画だが、チェンバロの音楽をバックに仔羊が森へ迷いこむところ、仔羊を追う女性、現れる獣人の映像は、これがボロヴツィクだという感じだ。明るめの緑の森に白い仔羊や女性がさまよう映像は美しい。

冒頭、外国からフランスに嫁いでくる女性が「美しいフランス」と云うと、叔母が「美しいけど淫蕩な国よ」と云う。そういう映画だ。

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