『華麗なる恋の舞台で』(サボー・イシュトヴァーン監督 2004)は、やっぱり女は嘘つきで気まぐれで自分勝手でどうしようもないなという映画だった。サマセット・モーム原作の劇場を舞台にした群像劇で、主人公の女優は感情に流されがちで都合のいい時だけ甘ったれる女の嫌な面を体現していて、自分も不倫していたくせに旦那が不倫したら黙っていられないらしく、それはともかくやっつけるやり方というのが、自分より不美人で演技の下手な若手女優をコケにしたり、演出も脚本も無視して好き勝手やったり、とにかく不愉快な映画だった。
女優が自己陶酔しすぎの演技をしたときは旦那が大根だとピシャリと云うシーンなどはよかった。ジェレミー・アイアンズ、ブルース・グリーンウッド、マイケル・ガンボンといった、おじさま俳優たちが素敵だった。
全然好きな映画ではないが、ファッション、劇場やナイトクラブなどの映像や音楽に1930年代の優雅な雰囲気が出ているところがよかった。
記事「オリエントのシャンドールという腕時計を中古で買ったが古すぎて時計屋でもベルトの調整ができなかった話」に「1930年代、40年代の腕時計は小さくて四角いものだったらしいと聞いてから、そういうデザインのものが欲しくて探していたが、なかなか見つからなかった」と書いたが、女優が若い愛人に送った時計がまさにそのような形で、ベルトは記事「アールデコ風な腕時計のベルトを金属からトカゲ革に付け替えてより優雅な雰囲気になった」に書いたトカゲ革ではないがブラウンで細めのもので、やはりこんな感じの腕時計はいいなと思った。
そして、私は理想の傘がなかなかないこと、一般的な男性向けの傘はでかすぎ、長すぎであることについても色々書いている。この映画のエキストラに帽子をかぶって晴れでも傘を持っている英国紳士が写っていて嬉しかった。地面に突いて手で支えるとこれくらいの高さになる傘が欲しいんだよ。
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