『桃太郎 海の神兵』は1944年製作、海軍省の戦意高揚国策アニメだ。内容はともかく、映像作品としては素晴らしい。動物を擬人化したかわいいキャラクター、余計な台詞はない静かな演出、迫力のあるアクションの演出、歌が多く楽しい。監督瀬尾光世はディズニーの『ファンタジア』を参考にしたらしい。たんぽぽの綿毛が落下傘のイメージに重なるところなど、幻想的なところがある。
桃太郎 海の神兵 1945(昭和20年) from yakitori on Vimeo.
だが、中身は「お国のために死んで来い」ということだ。 キリッとした人間は隊長の桃太郎のみ。兵隊は二本足の動物、南方の人々は四足動物なのだから馬鹿にしている。ロクでもない会社がかわいいキャラクターを使って誤魔化すというのは今でもあることだ。
戦争で亡くなった方々を英雄視するだけで終わらせてはならない。軍資金を貸す銀行、兵器を売って金儲けする会社、このクズどもにもっと注目しなけばならない。