『キングコング 髑髏島の巨神』(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督 2017)はIMAX 3Dの映画館で観たが、コングは女に恋しないし、恐竜が出てこないし、私の好きなキングコングとは違っていたので、あまり感心しなかった。
最近、雨の週末が多く、あまり出かけられないため冒険映画を見たくなり『キングコング対ゴジラ』(本多猪四郎監督 1962)を見た。すると、『キングコング 髑髏島の巨神』のコングがゴリラそのものではなく直立しているのはスーツアクターの動きに影響を受けてるらしいこと、タコ(リバー・デビル)が出てくるのは『キングコング対ゴジラ』へのオマージュであることに気付き、思ったより悪くなかったのではないかと思い、再び見てみた。
見直して気付いたのは、人間がみな真面目で欲にまみれた愚かさがないことだ。リーダーは調整役、女性カメラマンは助けを必要としない女で、ヒーローもヒロインもいない。一番狂気に捕らわれるのはパッカード大佐だが、部下を殺された復讐心で、普通に理解はできる。
女の影は薄い。コングは女が島の生物を助けようしているところを見たから、女を危機から救う。そう考えるとコングも真面目なのだ。パンフレットや雑誌の特集記事によると、『キングコング 髑髏島の巨神』で監督はコングを神として描いている。コングが文明に倒される話ではなく、自然の脅威の前に人間はどうすることもできない話だ。それはそれでありだ。
『キングコング対ゴジラ』は日本映画ということでどんなものかと思ったが、ちゃんとキングコングであり、ちゃんとゴジラでもある、60年代レトロ感のあるコメディだ。
中心人物は映画監督ではなくテレビ局の社員、コングを自国に連れ帰って一山当ててやろうという欲丸出しなのはスポンサーの営業部長、その点は『キング・コング』(メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック監督 1933)から受け継がれていて、コングが人間に倒される話ではないというところは『キングコング 髑髏島の巨神』に受け継がれていて興味深い。
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