私は物持ちがよく、2007年の記事「16本の骨の傘」の傘を最近まで使っていたが、先日の強風で骨が曲がってしまった。ベージュの地に臙脂の青海波紋様という、暗くなく派手すぎないデザインが気に入っていた。壊れる前から、いい傘があれば欲しいとは思っていた。
仕方ないので旅行中の雨のときに買ったビニール傘を使っていたら、盗まれた。好みではないビニール傘だが、一応長めのしっかりしたものだった。自分以外の者が開いたら爆発する傘を発明したい。共同の傘立てには決して傘を置くまいと心に誓った。
それから傘探しが始まった。暗いのは嫌なので、明るめの柄物を探していたが、これは欲しいと思えるほどのものが見つからない。諦めた。黒い傘を探すことにした。18世紀末までの男性服の女性服と変わらない派手な色彩が、ダンディズムの出現により黒となったように。
イギリス製の細身の傘は確かにかっこいい。だが、私は下の三つの条件さえ揃えば中国製の安物でもいいと思っている。それが探してみると、驚くほどない。
1.色は黒。ワンポイントも柄もいらない。
2.手元は木。できれば中棒も木。
3.石突は寸詰まりやボテッとしたプラスチックではなく、すらっとスマートなもの。
二つ揃ったものは割とある。手元が木に見えるけど実はプラスチックというものもあった。全然見つからないので、ネットでも探し、完全に私のイメージ通りではないけれど三つの条件を満たしていそうだと思い、買ったのがオカモト原宿店の傘だ。
画像を見て、ある程度は予想していたものの、実物はやはりかなり大きくて、こんな巨人の傘みたいなの誰が使うのかと思った。中棒も太く、骨と骨の間がベコッと凹んでいて、あまり美しくない。買ったばかりの頃は気に入らなかったが、使っているうちに、まあそれほど悪くはないかと思えるようになってきた。
過去の記事「16本の骨の傘」に既に「傘を探そうと色々見たが、なかなか適当なものがないものだ」とある。理想の傘探しはまだ続く。