『キング・コング』は1933年2月にアメリカで公開され、その年のクリスマス・シーズンに向けて、ほぼ同じスタッフによって続編が作られた。2005年のピーター・ジャクソン監督版では時期が冬なのも、これと関係あるだろうか。
続編の邦題は『コングの復讐』だが、原題は”The Son of Kong”だ。『キング・コング』と比べるとスケール・ダウンしていて、当時の日本の新聞評では「嬢ちゃん坊ちゃん向け」と書かれた。前作ヒットのついでに作ったのかもしれないが、『キング・コング』の世界と完全につながっていて、私は面白いと思った。
ニューヨークで暴れたコングの被害者たちに訴えられたカール・デナムはイングルホーン船長と船で逃げる。寄った港町の見世物小屋の娘ヒルダや、かつてデナムに髑髏島の地図を渡した小悪党ヘルストローム、中国人コックとなんだかんだで再び髑髏島へ。そこでコングの息子と会う。沼にはまって動けなくなっているところをデナムとヒルダに救われた小コングは、危機があるごとに彼らに恩返しをする。
小コングと恐竜の格闘は動きがなめらかになっている。小コングとヒロインのやりとりは少ないが、ただ叫ぶだけだった前作のアンとは違ってヒルダには小コングへの優しさがあり、デナムとヒルダが親しげな様子なのを小コングがうらやましそうに見るカットがある。
最後、地震で髑髏島が沈むスペクタクルがあり、デナムを救う小コングの腕だけが海から出ているのは、『ターミネーター2』の溶鉱炉のシーンを連想した。