『キングコングの逆襲』(本多猪四郎監督 1967)にはマッドサイエンティストが出てくるというので面白そうだと思ったが、期待をはるかに上回る面白さだった。偉大なオリジナル『キング・コング』(メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック監督 1933)と近年の『キングコング 髑髏島の巨神』(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督 2017)の間をつなぐのはリメイクではなく和製コングかもしれない。
この予告篇の大袈裟な惹句に嘘はない!
キングコングの島を探索するのは潜水艦で世界を回る国連の調査隊で、色々な国籍の人がいて、女性もいる。このクルーが宇宙は出てこないが「スター・トレック」のようなのだ。何か知らないけど宙に浮く乗り物、「スター・トレック」のシャトルみたいのも出てくる。日本人は宝田明が大活躍する。
キングコングや恐竜のデザインは目が大きめで子供向けなのかもしれない。1933年版のようにコングがブロンド美女を木の上に置いて恐竜と戦うシーンがあるのがよい。『キングコング対ゴジラ』(本多猪四郎監督 1962)にはそのシーンがなく、せっかく怪獣と戦うのだから、あのシーンやればいいのにと思っていたのが見られてよかった。ヘリコプター軍団がコングを襲うシーンは『キングコング 髑髏島の巨神』に影響を与えている。CGではなく実際にあるものをフィルムで撮影した映像はオーラが違う。
日本上陸、ブロンド美女を掴んで東京タワーに登るメカニコング(コング型巨大ロボット)、追うキングコング、一体どーなってしまうのかというスリルあり、ネタバレを避けるため具体的には書かないが、高いところから巨大なものが落ちるオリジナルにあるカタルシスもあり、オリジナルと違ってコングが文明に倒されるのではなく自然に還ってゆく日本的なストーリーが両立していて素晴らしい。
マッドサイエンティストに悪の秘密結社、某国の秘密工作員の美女、巨大生物、巨大ロボットとわくわくするような登場人物たち。このハチャメチャな感じを大真面目にやっているのだから面白くないわけがない。何度でも見たい。
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