オリヴァー・パーカー監督『アーネスト式プロポーズ』を見た。原作はオスカー・ワイルドで『真面目が肝心』(角川文庫)、『嘘から出た誠』(岩波文庫)という題名の邦訳がある。Ernest(人名)とearnest(真面目)の同音異語になっている。パッケージが派手な色で邦題も安っぽく、現代ものに翻案されているのかと思ったが、きちんとヴィクトリアンで衣装も豪華だ。コリン・ファース(ジャック)、ルパート・エヴェレット(アルジー)、ジュディ・デンチ(ブラックネル夫人)とキャストも豪華だ。気軽に楽しめる勘違いについてのコメディで面白い。かなり抑制されていて真面目にやっているのだけれど何か可笑しい。
「あごを上げて。あごで品格が決まるのよ」という台詞がある。『嘘から出た誠』の訳では「顎のおき方一つで随分風采(みてくれ)に違いが出來るものです」だが、これを云われるのがリース・ウィザースプーンというのは似合いすぎだ。
リース・ウィザースプーン演ずるセシリーは本でちらっとジョン・エヴァレット・ミレイの「遊歴の騎士」を見、妄想するコスプレシーンがある。ここの鎧も豪華だ。ヴィクトリア時代はまだヌードに拒絶反応があり、この絵も論争になったそうで、おおっぴらに見られるような絵ではなかったのだろう。