『グランド・ホテル』 優雅なリアルタイム・アールデコ

グランド・ホテル ヴィッキ・バウム

東京の古本市で『グランド・ホテル』の原作を手に入れたので、久しぶりに映画を見た。安いDVDを持っていたのだが、これが廉価版というよりはむしろ劣化版と呼んでよい代物だ。古い映画だし、画質が悪いのは別にいい。一回の字幕に二人分の会話が出てきたり、誤字があるのはイライラするので、ブルーレイを買った。モノクロ映画はブルーレイでなくてもいいような気がしたが、ホテルの装飾や人物の髪までも美しく、買ってよかった。

ドキュメンタリーを見て気づいたが、プロデューサーはアーヴィング・G・サルバーグフィッツジェラルド『ラスト・タイクーン』のモデルだ。『ラスト・タイクーン』は読んでいないのだが、『グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー)』を読んだ後に『グランド・ホテル』を見るとストーリーは似ていないが、共通点がある。金持ちはロクでもないということ、法を犯してはいるが人間的には魅力がある人物が中心なところだ。

原作の訳は牧逸馬だ。函館出身、本名、長谷川海太郎は丹下左膳の「林不忘」、洋風モダン小説やエッセイの「谷譲次」、洒落たメロドラマの「牧逸馬」の三つのペンネームを駆使したベストセラー作家だ。フィッツジェラルド、ジャズエイジ、レビューから興味が浅草へ飛んだように、またしても昭和モダニズムに戻ってきた。

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