「 日本 」一覧
「悪霊物語」 乱歩的人形幻想怪奇譚になりそこなった連作
「悪霊物語」(昭和二十九年 1954)は江戸川乱歩、角田喜久雄、山田風太郎が書き継いだリレー小説だ。本編を読む前に、この作品について書いた乱歩の文章を読み、これは是非読まね...
「スワニー」は何かに似ていませんか?
ジョージ・ガーシュウィンの伝記映画『アメリカ交響楽』で”Swanee ”を聴いたときから、どこかで聴いたことがあるような気がしていたのだが、「東京ラプソディ」だと気づいた。...
「虹」 川端康成 浅草レビュウの踊子や振付師たちの交錯する恋
先日、浅草に行った。上の画像は塔のあった方から撮った浅草六区だが、面白くもなんともない写真だ。昔の面影は何もない、というより、建物が全然ない空地が多かった。塔の跡地もヴィジ...
『ハードボイルド風に生きてみないか』 過去の忘れ方
男女関係のいざこざで女を殺す男がいる。人殺しはよくないが、女は怒りの導火線に火を点けるようなことをやるものだ。時間が経てばかわいいところもあったなと思えるのだが、頭に血がの...
漫画『東京物語』 ふくやまけいこ
『東京物語』(ふくやまけいこ ハヤカワ文庫)を再読した。絵はかわいいが、ミステリアスで結構壮大な話だ。 昭和初期の東京、雑誌記者の平介と謎の風来坊の草二郎が色々な謎を...
森茉莉が看破 パリと浅草の共通点
「日本で巴里の気質を持っているのは浅草人だけである」と、森茉莉は書いている(『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』 ちくま文庫)。最近の記事でパリや浅草のことを書いていたので...
「襤褸の光」谷崎潤一郎 美しき女乞食
1920年代終わりの浅草小説が『浅草紅団』(川端康成)なら、1920年代初めのは『鮫人(こうじん)』(谷崎潤一郎)だ。これを読もうと思って借りた『潤一郎ラビリンス Ⅸ浅草小説集』(...
『浅草紅団』 川端康成 1930年の都市文学
『浅草紅団』(川端康成)には1930年頃の不良少女不良少年、浮浪者や演芸、風俗が描かれている。新潮1999年6月号に取材ノートの一部が載っている。見開きの右側に新聞記事のスクラップ...
メドゥーサの美 『肉体と死と悪魔―ロマンティック・アゴニー』(マリオ・プラーツ)より
マリオ・プラーツは『肉体と死と悪魔―ロマンティック・アゴニー』(国書刊行会)で、ゲーテ、シェリーからボードレール、キーツ、タッソ、バルベー・ドールヴィイなどの例を挙げながら書いてい...