「 2013年11月 」一覧
『ラスト・タイクーン』 フィッツジェラルド 何かを求めて手に入らない姿が作者と重なる
フィッツジェラルドに感銘を受け、クラシック映画も好きなので『ラスト・タイクーン』は是非読まねばと思い、ハヤカワ文庫の乾信一郎訳と三笠書房の米田敏範訳を読み、角川文庫大貫三郎...
『オペラ座の怪人』 ケン・ラッセル監督のプロモーション・ビデオ
私の好きなケン・ラッセル監督は『オペラ座の怪人』ミュージカル化の前にプロモーションビデオを撮っている。 2004年の映画では、雪が積もった墓場...
『オペラ座の怪人』 原作小説 翻訳各種 どれがいい?
『オペラ座の怪人』の原作はまとまりのある話ではない。創元推理文庫(三輪秀彦訳)で読んだのはかなり前なのであまり覚えていない。 再読するなら別のにしようと思い、早川文庫...
『ダーク・ブルー』 英国空軍としてナチスと戦ったチェコスロヴァキア人飛行機乗りの恋と友情
対等な関係のバディ・ムービーでもなく、師弟関係でもなく、ちょっと珍しい距離感の飛行機映画だった。チェコ・イギリス合作、ヤン・スヴェラーク監督の『ダーク・ブルー』(2001)...
『夢の丘』 アーサー・マッケン 田舎にも都会にも馴染めず死に向かう芸術家
アーサー・マッケンの『夢の丘』(1907)は、以前読んだときは中断した。ほぼ全篇、文学者志望の男の妄想でストーリーらしきストーリーも会話もなく、読みづらい。これは作品が悪い...
ホフマンの「砂男」が戦前の新青年に載っていた
最近、「砂男」が雑誌・新青年に載っていたことを知り、『新青年傑作選 第四巻 翻訳編』で確認した。昭和二年(1927)八月増刊、向原明訳、初山滋画。江戸川乱歩以外にもこの時期...
『吸血鬼』 『オペラ座の怪人』原作者ガストン・ルルーのアンドロイド小説
フィッツジェラルドはミステリ風、ファンタジー風の小説も書いている。『グレート・ギャツビー』にしてもリアリズムのようでいて、ちょっと風変わりなところもある。 ファンタジーが多...
『歌劇学校』 川端康成?の少女小説
(引用元 「中原淳一展」歌劇学校 - 梅田経済新聞) 川端康成が書いたことになっている『歌劇学校』という小説がある。昭和三十六年(1961)のポプラ社版は古本市やネットで見たこと...
「死後の恋」 夢野久作 少年兵士は男装の皇女?
『浅草紅団』(川端康成)も「水族館」(堀辰雄)も昭和五年(1930)刊の『モダンTOKIO円舞曲』に収録され、両方に男装が出てくる。この時期の男装は何なのか、時代の空気なの...
『心の旅路』 記憶喪失者の記憶が戻ったら
マーヴィン・ルロイ監督の『心の旅路』(1942)は、ちょっとうますぎる。出てきた小道具や台詞を後でもう一度出して前のシーンを思い出させるテクニックをさりげなくではなく、これ...