古本市で『SF作法覚え書―あなたもSF作家になれる』(ベン・ボーヴァ 東京創元社)を見かけた。いい値段だった。ネットの相場も安くはない。ただ、図書館にあることが多い。
SFの短篇を書く技法が書いてあるが、この手の本は他の分野にも応用できる。この通りにしなければならないわけではない。だが、ヒントにはなる。昔、要点をメモしたものがあるので、そこからさらに要点だけを書き出す。
【登場人物・理論編】
ある人物がある問題を解決しようとして努力するさまを描く。主人公の強みと弱みがわかったら、彼のもっとも痛いところを突く。
【登場人物・実践編】
・感情A対感情B(例 罪の意識対義務感 プライド対命令順守 恐怖対責任)
・絶えず問題を提起する。ひとつの問題が次の問題の解決につながる。
・運命の岐路 モラルに反する選択が利益になる情況
・主人公は変わらなければならない
【背景・理論編】
背景のすべてのディテールに意味を持たせること。背景に関することは、ひとつ残らず重要でなければならない。
【背景・実践編】
物語のわかりやすさとリアリティを壊さずに取り除ける背景情報はないか捜せ。
【対立・理論編】
作家の仕事はトラブルメーカーになることだ! 可能なかぎり多重に重なり合う対立と問題を主人公に与えろ。
【対立・実践編】
基本となる対立は常に主人公の心のうちの葛藤でなければならない。内的対立から他の対立が派生する。
例 [(コンピューター)⇔(人間 希望対絶望)]⇔[敵]
【プロット・理論編】
・強力な時限爆弾を仕掛け、第1ページからそれが時を刻む音が読者に聞こえるようにしてやること。
・結末は主要部分と整合性を保っていなくてはならない。
・背景情報はキャラクターの行動を通して見せるようにすること。キャラクター同士に自分たちがすでに知っていることを決して語らせるな。
・物語が始まる前、終わった後も主人公は実り多い多忙な暮らしを送っていることを読者に信じ込ませろ。
【プロット・実践編】
・主人公の生命が脅かされる話はもっとも強力
・物語に深みを与え、変化をつけるために二番目のキャラクターを登場させるべき潮時がある
・伏線は重要
・テクニックや驚きが見え見えの場合は、プロットの枠組みが行動や性格づけや背景でうまく隠しきれていない