昔、『帝都物語』(実相寺昭雄監督 1988)を観たときは、わけのわからない映画だと思った。その後、陰陽道や過去の歴史、文化に興味を持ってから見ると面白く感じるようになった。
かなり金がかかっているはずだ。銀座の道幅がせまいとか、浅草ののぼりが小さいとか、十二階(ミニチュアだが10mはあったそうだ)がポッキリ折れないで上から崩れるだけとか、細かいところで安っぽさがないわけではないが、それでもあれほどのセットやエキストラで時代の色々を再現したのは凄いことだ。
実在の人物について知らなければ、今和次郎のところなど面白くもなんともないだろう。カフェーのセットが素晴らしい。カフェーで今和次郎が人と話しているのにキョロキョロまわりを見てスケッチしているシーンがある。これはカフェー関係の本でよく見かける、この絵を踏まえたものだろう。子供の頃に『帝都物語』を観たときはこの大正十五年(1926)の絵など全然知らなかったが、知ってから観ると味わい深いものがある。
コメント
ビヤホールのシーンはセットではなく、実際の銀座ライオンの店内です。
店内は今でも映画と同じ戦前のままの内装で現役ですよ
そうなのですね。コメントありがとうございます。
機会があれば行ってみたいです。