ロシア文学の展示まで中止になっているそうで、それはやり過ぎではないだろうか。太平洋戦争時にもアメリカは日本研究をやっていたのに日本は敵性言語はまかりならんとシャットアウトしてしまっていたのを彷彿させる。相手の文化を知るのは大事なことだ。というわけで旧ソ連のSF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』(ゲオルギー・ダネリヤ監督 1986)を見た。
これ好きなんだよね。映像も音楽も脱力系で。衣裳や建物、乗り物が薄汚れた感じで、世界が完全に作り込まれている。
ロシア人の中年男とグルジア(現ジョージア)人の若者が砂漠の星に飛ばされ、現地の奇妙な人々と出会い、地球へ還る方法を求めて彷徨う。一見ふざけているようでありながら、淡々とした描写で抒情的でもあり、義理人情的なところもある。違う人たちが友情で結ばれていく。
パンフレットによると『不思議惑星キン・ザ・ザ』ではみんな、マッチ(通貨)や燃料や水を奪い合うが、それは慢性的な物資不足に苦しんでいたソ連の現実そのものだそうだ。何も考えずに笑って楽しむこともできるが、改めて見てみると権力を茶化すところや独善的な支配者に屈しない描写にグルジア人である監督のメッセージが感じられる。
監督自らが新解釈でアニメ化した『クー!キン・ザ・ザ』があるとは知らなかった。是非見たい!