対等な関係のバディ・ムービーでもなく、師弟関係でもなく、ちょっと珍しい距離感の飛行機映画だった。チェコ・イギリス合作、ヤン・スヴェラーク監督の『ダーク・ブルー』(2001)の三十代のフランタと十代か二十代前半のカレルは上官と部下でありながら親友でもある。
ナチスに占領されたチェコスロヴァキアの空軍はイギリスと共に戦ったのだが、戦後、祖国に帰ると共産党の強制収容所に入れられた。パイロットが1950年の収容所内で、第二次大戦を回想する。悲惨な歴史を描いているのだが、重くなりすぎず、ユーモアがある。ストーリーはオーソドックスだ。恋人同士が戦争で別れて、女は男が戦死したと思って別の男と結婚していたというのはよくあるパターンなのでネタバレで書いてしまうが、直接的ではない少ない台詞と映像で表現されていて、とてもよかった。別れと再会を演出する犬の演技もいい。
中心は男同士の友情だ。激しい空中戦は本物の飛行機が飛んでいる映像と記録映像を修復したもので、弾丸だけCGだそうで、迫力がある。その間の何気ない描写やくだらないやりとりがいい。同じ女を愛したために友情は壊れる。
誤解、仲違い、和解というパターンは私は結構好きなのだが、『ダーク・ブルー』では戦争の極限状態で、感動的な和解シーンあるわけではない。それでも、心の底では相手のことを思っている。フランタが墜落して海に浮いているとき、上空を飛ぶカレルは無線で救援を呼ぶが無線が壊れていた。カレルは女の一件でフランタに対して怒りを抱いている。そのときカレルがとった行動は?
DVDのパッケージは人物の顔が青すぎるし、コピーはパクりだが、内容はいい映画です。