西部の男のイメージのジョン・ウェインとセクシーな悪女のイメージのリタ・ヘイワースのサーカス映画ってどんなものだろうと想像がつかなかったが、これは期待以上の映画だった。色々細かいところがうまい。
大画面ではなくても空中ブランコや猛獣が映っているだけでもスリルがあるものだが、『サーカスの世界』(ヘンリー・ハサウェイ監督 1964)はパニック映画でもあり、メロドラマでもあり、ロードムービーでもある。それらが交錯しているので、長めだが飽きない。馬車を使った西部ショーは、映画館で観たら、より楽しめただろう。ヨーロッパのサーカス会場はオペラ座かというくらいの豪華さだ。
複雑な家族関係があって実の親子ではないのだがジョン・ウェインとクラウディア・カルディナーレが父と娘的な関係で、ギクシャクするところなど、スペクタクルや重い話の間に笑えるところもある。実の娘ではないし、あんな色っぽい衣裳でウロチョロされたら戸惑うのも無理はないと思える、クラウディア・カルディナーレの美しさだった。