最近、「砂男」が雑誌・新青年に載っていたことを知り、『新青年傑作選 第四巻 翻訳編』で確認した。昭和二年(1927)八月増刊、向原明訳、初山滋画。江戸川乱歩以外にもこの時期の恋、狂気、死の要素のある小説に影響を与えているのではないかと思ったが、意外なことにナタナエルが狂って塔から転落するところがカットされていた。ページ数の都合か、自主規制か、不明だ。
関連記事
久世光彦「去年の魔都 いまいずこ」 久生十蘭『魔都』解説
朝日文庫の『魔都』(久生十蘭)は久世光彦が解説を書いている。私が持っている文庫本は教養文庫と創元推理文庫で、朝日文庫は手元にないが、久世光彦の解説は『悪い夢 私の好きな作家...
マジックの番組を見ていて掘り返された記憶の底から出てきた本
テレビ番組「潜入!世界最高峰のマジック殿堂 Magic Castle」を録画したのは、なんとなく興味惹かれたからであり、継続的に奇術に興味あったというほどではない。だが、思い返して...
『明治・大正のあかり 電笠』 高橋岳志 里文出版
『明治・大正のあかり 電笠』(高橋岳志 里文出版)はじっくり読んだ記憶はないのだが、どこかで見かけたのだろう。記事「思い立ってアンティークさんぽ」で電笠に興味持ち始めたので思い出し...
大正昭和の東京の建物がたくさん載っている写真集
この写真集『幻景の東京―大正・昭和の街と住い』(藤森照信 藤岡洋保 初田亨 柏書房)は古本屋で見かけて、欲しいのだが高いので買っていない。図書館で借りた。大正4年から昭和1...
ケン・ラッセル演出のオペラ『ファウスト』が出た
特に好きで日本語字幕のないDVDを持っていたケン・ラッセル演出、グノーの『ファウスト』が、本屋で売られているデアゴスティーニのDVDオペラ・コレクションで出た。26号だ。オ...
乱歩 ルルー ルヴェル グラン=ギニョル
「人間椅子」(江戸川乱歩)の醜い容貌、暗闇の世界の恋という要素が『オペラ座の怪人』を連想させる。ストーリーが似ているわけではないし、直接の影響が見られるわけではないが、江戸...
シェリ・エルアールのコケットでファンタスティクなイリュストレ
ブログ 有翼人の研究でラヴェンナの怪物について調べていて、『アラマタ図像館1「怪物」』 を見ていたら、古いフランスの雑誌のきれいな挿絵が載っていた。上のは本に載っているもの...
ホフマン ファム・ファタル 機械趣味
ファム・ファタルはフランス語だ。映画やオペラ『ホフマン物語』の原作読んでいると、ファム・ファタル的な話で、ホフマンはドイツでよりもフランスで人気があり、フランス文学にも影響...
森茉莉が看破 パリと浅草の共通点
「日本で巴里の気質を持っているのは浅草人だけである」と、森茉莉は書いている(『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』 ちくま文庫)。最近の記事でパリや浅草のことを書いていたので...