二年ほど前に作った馬蹄形コインケースをポケットに入れて使っていたら、糸が擦り切れてきたので修理した。手縫い線に溝を彫る道具(ステッチンググルーバー)なるものがあるのだが、それを持っていないので、より擦り切れやすかったのだろう。
高さが一定なのと、縫い目が引っ込んでいるところがいまいちだ。本格的な方から見れば拙い出来かもしれないが、好みの大きさとデザインで使いやすく、気に入っている。
左が初めて作ったもの、右が三個目で今使っているもの。早くいい色にしたくてオイルを塗ったのだが、練習で作ったパスケースを見ると、何もしなくてもいい色になってきていた。
馬蹄形コインケースに憧れがあった。だが、値段は高めで大きいものが多く、なかなか好みのものがなかった。練習のために使いもしないものを作るより、本当に欲しいものをいきなり作ってしまおうと思い、自作した。
作った人の写真はあるのに、型紙や縫い方を解説した作り方を探してもネットではあまり見つからなかった。秘伝なのではないかというくらいに。ヒントを少しづつ集めていって、完成品の画像を見て研究した。
駒合わせ縫いという技が必要だ。作る前に既成品をじっくり観察して、中に縫い目がないのはどういうことかと驚いたものだ。このやり方はどの本にでも載っているわけではなくて、探さなくてはならない。やってみるとそれほど難しいものではない。穴の開け方が分れば、あとは平縫いと同じだ。縦の穴と横の穴をキリで貫通させて縫っていく。曲線部分で穴の位置がずれた場合は、糸をもう一本の糸に引っ掛けて同じ穴に戻して調節すればよい。
かっこいいものを作ろうと思えば本格的に練習する必要があるが、使えればいいという程度なら、その気になれば作れる。そのために何度か血を流したが。
駒合わせ縫いが載っている本
今、こんな本が出ている。私が作ったときにはまだ出ていなかった。
《追記》
使っているうちにまた糸が擦り切れてきた。前に修理してから八年、作ってからもう十年も経つのか。
経年変化で味が出たのか単に汚れているのか判らない。
また修理した。
(2022年1月9日)