毒の娘 死の接吻

ラパチーニの娘 Rappaccini's Daughter. Illustration from 1871 ed. of Mosses.

「ラパチーニの娘」ホーソーン 1844 『毒薬ミステリ傑作選』収録)も「毒の園」ソログープ 1908 『書物の王国5 植物』収録)も、有毒植物を研究するマッド・サイエンティスト的本草学者、毒によって育てられたその美しい娘、その娘に恋する青年の話で、結末は違うがよく似ている。

こんな発想はどこから出てくるのかと不思議に思ったが、ある印度の王が毒薬で育てた美女をアレキサンダー大王に贈り、暗殺しようとしたという故事があるらしい。 美しくも危険なものに惹かれる心理は古くからあるのだろう。

本草学者の狂いっぷりが強く、青年の恋に陥る感じがよく出ているのは「ラパチーニの娘」、主要人物ではない伯爵や娘の先祖のエピソードが散漫な印象だが結末がロマンティックなのは「毒の園」だ。どちらもいい。

死の接吻のモチーフは『浅草紅団』(川端康成 1930)にも出てくる。あらすじで、登場人物の一人の弓子が姉を弄んだ男に復讐すると書いてあるものもあるが、そう単純ではない。男に惹かれている部分もあり、亜砒酸丸を口に含んだ接吻も、後の方を読めばちょっとした仕掛けがあるところが面白いのに。

死の接吻と云えば、こんなかっこいいPVがある。アンドロイド好きなので、見てすぐ気に入った。おっかない女だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。