『未來のイヴ』(ヴィリエ・ド・リラダン 創元ライブラリ)を読んだ。エワルド卿とエディソン、エワルド卿とハダリーの対話に緊張感がある。アリシア・クラリーの図々しさ、エディソンの皮肉が笑える。結末はこれ以外考えられない。かなりドラマチックで壮大な終わり方のような印象だが、読んでみると短い新聞記事なのだ。
解説によれば、『さかしま』の著者ユイスマンスはヴィリエの気質を「暗鬱な揶揄と凶暴な冷笑」として捕らえたそうだ。再読中の記事に書いた女に対するケチョンケチョンぶりがそうだろう。だが、結局男も打ちのめされる。