記事「カメラの物欲行ったり来たり」に、やっぱりライカは王道だから記事「欲しい時計 上がダメなら横があるさ、横がダメなら斜めがあるさ」のように斜めに行くのがいいのではないか、という訳で斜めに行くことに決定したと書いた。それで買ったのは1950年代のレンジファインダー機、Voigtländer(フォクトレンダー)のProminent(プロミネント)だ。数か月前に届いていた。ULTRON 50mm F2、SKOPARON 35mm F3.5のレンズ2本付きで五万円以内に抑えたのでお買い得だと思っている。
Prominentにフィルムを入れて撮影もしたが、まだ一本撮り切っていない。ULTRONをデジカメでも使うためにマウントアダプターが欲しいところだけど、メジャーなマウントじゃないから高いんだよね。レンズにピントリングがない特殊な構造で、距離計が付いているアダプターが特に高い。KIPONというブランドのが昔は日本でも三万円くらいで売られていたらしいが、今はAliExpressで七万円くらいする。さすがにそんなものは買ってられない。私は他のレンジファインダーカメラで使うわけではないので、とりあえず使えそうな13,000円くらいのをAliExpressで買った。
ライカLマウントのアダプターと二重になっていて、結構迫力ある。
これは開放で撮ったもの。
精細だよね。
好きな感じの色合いだ。
ぼけも自然でいい感じ。
このレンズは本でよく紹介されている。それを読んで影響されたわけではなく、買った後で気付いたのだが。『中古標準レンズ100本ガイド』(島田和也 学研)には性能は最新のレンズの方がはるかに上であるにも関わらず、それだけではない何かをULTRONは感じさせてくれると書いてある。空気感とかやさしさといった曖昧な表現しか浮かんでこないのだが、画一化されていない魅力を持っている、動物の体温、植物の生命力をも感じさせると。素晴らしいね。この本は著者の主観によるおすすめ度、楽しさ度が載っているのだが、CONTAX(コンタックス)Planar 50mm F1.4より上なのだな。
『オールドレンズパラダイス2』(澤村徹著 和田高広監修 翔泳社)にはみずみずしさが宿る繊細派と書かれている。Planarに似た繊細な描写が特徴、絞り込んでもやさしさが残り、なめらかなぼけ、深みのある発色で鮮やかな被写体を瑞々しくとらえるが、残念ながらシャープさが一歩及ばず、さながら素朴なプラナーとのこと。いいじゃないか、素朴なプラナーか。シャープさを求めるなら現行レンズを使う。
ライカもコンタックスも気になるが、フォクトレンダーのULTRONを使い続けるという選択も悪くないかもしれない。